なおの心象風景

詩のような散文のようななにかを書きつけています

レール

大きなレールに乗り損った

どういうわけか乗れなかった

私の愛すべき車は


人は私の車を見て錆びついたというかもしれない

しかし私だけはそんな言葉で形容しない

これに好きな色を塗り

好きに装飾する

自分だけの愛し方で愛せるように


タイヤが丸くないんです

これは前進することを車の仕事とするならば

致命的な欠陥でして

なのであまり円滑には進まないようだけれども

とてもおそらく慎重な心でこれに乗ってくれている相方さん

そんなことに気づけなかった


わがままで身勝手な車

そしてきみはとても静かな乗組員

何一つ文句を言わずに


ある時は私の車

ある時はきみの車

私たちは互いの車に乗り合わなきゃいけないのだけど


私はきみの車に乗れていただろうか

仮面

雨一粒が手の甲に落ちる

私の細胞内へ染みていく


私は世界から期待された私になろうとする

普通や常識といった呪縛が私の首を絞める

妻である私

長女である私

娘である私

それらからの期待から逃れたい時がある

それらの役割を全て取った時残る私はなんだろう

ただの人間であり女です


それらの役割を演じることで生かされていることは重々承知しているし

感謝している


でもそれの期待が自己を覆い尽くす時がある


自分が誰だかわからなくなる


自分が良い主婦だとは思わない

けれど主婦の仮面を捨てたくなる時がある


たまには捨てたらいいさ

それが人間ってもの


飽きるとはその状態が当たり前になりすぎて感情が麻痺してしまうことをいう


ならばときには逃げたらいいさ

そうしたらまた喜んで主婦ができるようになるから